税理士さんの選び方4つのポイント

税理士さんの選び方4つのポイント
これはイケる!という素晴らしいビジネスのアイデアはある。資金も何とかなる。よし、ここは一発独立して新規事業を開始しよう!と思い立って営業を開始してみたときに、多くの場合すぐに課題になるのが経理の問題です。
事業主の方が、実際に経理の経験があるとか、あるいはご自身で特に勉強して習得された場合は問題はないですが(実際には、経営者になる方にはある程度の簿記の知識を持たれることを強くおすすめします)、営業サイドご出身の方は、あまり管理業務に関する経験と知見をお持ちでないケースも多いため、いざ新規事業を独立で行おうとすると「あれ!? どうすればいいんだっけ?」となるワケです。
そこで、頼りにしたいのが税理士という職業の人たち。
税理士は、読んで字のごとく税務を行う人たちですが、その前提作業となる日々の経理受託もあわせて行っている場合がほとんどです。
ここでは、その頼りにしたい税理士さん選びのポイントを4つに絞ってお伝えします。

税理士さんの選び方4つのポイント

 

1.税理士さんに何をしてほしいのか明確にする

税理士さんを選ぶときのポイントの1つ目は、税理士さんに何をしてほしいか明確にしておくことです。
税理士もサービス業なので、業務範囲は税理士さんによってマチマチですが、多くの税理士あるいは税理士事務所は以下のような業務を請け負っています。

  • 会社設立サポート(法人設立準備、法人登記、社会保険事務所、地方行政への届け など)
  • 許認可申請サポート(許認可事業の場合の事務手続き など)
  • 創業融資サポート(事業開始に関する資金調達のお手伝い)
  • 税務相談サポート(税金に関する相談)
  • 決算申告サポート(決算及び税務申告の実作業受託 など)
  • 税務調査サポート(税務調査が入った時の調整、立会い など)
  • 助成金申請サポート(国や地方行政の設定している助成金の申請のお手伝い など)
  • 経営コンサルタント(事業経営全般に関するアドバイス など)

社員が10人未満の会社であれば、経理や給与計算から確定申告までの事務を、1〜2人の事務員で行うということもあります。この場合、税理士に作業を委託するほどではないけれど税金について分からないことだけ相談したい、といったニーズがあるかもしれません。

また、年商が何百億円もあって社員が千人単位でいるような会社であれば、税金関係は顧問の税理士に全ておまかせということになるかもしれません。

また、これから会社を設立しようとするときなのか、設立後何年かたって軌道にのってきたときなのか、というような時期によってのニーズの違いもあります。

要は、こちらの状況に応じてお願いする内容も範囲も異なるということですね。
多くの税理士が最も得意とする分野は、経理業務全般、税務全般が中心です。逆に言えば、これができないとすれば、それはもはや税理士と名乗れないほどの基礎的内容なので、最低でもこの領域はどのような税理士でも対応します。
それ以外の業務は、それぞれの税理士の営業的スタンスと実際の経験値から来るスキルになるので、個別に対応が可能かどうかを問い合わせることになります。このうち、法人設立の手続きなどの役所との間で発生する業務は、いわゆるお役所仕事に対応しなければならないため面倒です。しかし、特別なスキルが必要なわけでもないので、さほど外部委託をする価値があるとは言えない領域です。
基本的に単なる事務作業的な内容となりますから、大きな資本金などでよほど金銭的にゆとりがあるか、よほど面倒くさがりでない限りは、事業主みずからなさることをおすすめします。
もっとも、巨大資本などにより最初から従業員も大人数でスタートするような場合は、社会保険などの手続きも煩雑となるので、外部委託をした方が好ましいですが、この場合は社労士資格の方が専門職になるので、あまり税理士にお願いすることはないと思われます。
ですので、一般的には税理士さんに委託すべき領域としては、1.経理全般、2.税務全般、3.資金調達補助、4.その他一般的経営のコンサルティングが妥当なところです。この中から、どの部分を外部委託するかを細かい業務リストにして、具体的に相談する方法が好ましいでしょう。

特に、3と4については、税理士事務所によって可能なサービスのクオリティにかなり差が出ます。事業者は実際に個別に税理士と会って目を見て話をし、信頼性とスキルを確認することが肝要です。

 

2.ここに注目! 良い税理士さんを見分ける


ポイントの2つ目は、どういう点に注目したら良い税理士さんを見分けられるかです。分かりやすく表にしてみました。

ポイント 好ましい税理士 要注意な税理士
基本スタンス 顧客の立場の視点から顧客満足の増大を考える 完全に税務署の立場から、杓子定規に判断する
提供サービス 顧客のニーズにあったサービス提供とコミュニケーション 顧客側が抱える課題を考慮しないで決まった事務作業だけをこなそうとする
料金設定 根拠が明確で妥当なメニュー設定が存在している 根拠が不明で納得性の低い金額提示をしてくる

サービス業であるという意識を持たず、自分の都合やペースで業務を進めてしまう税理士も少なからずいます。
また事業主の方が税理士に業務を依頼するのは、税務申告の煩雑な事務作業を代わりに行ってもらうことのほかに「節税」が目的です。これは当然のことのように思われますが、積極的に節税しようとしない税理士も多くいます。
多くの税理士は「適正な納税をサポートする」のが自分の仕事という認識なのです。けれども、例えば社長の給与を高く設定すると、社長個人の所得税は増えますが、会社の所得はその分減るので法人税が減ります。そこを、社長の立場に立って、個人と会社の税金を合わせて一番税金を取られない給与額を計算してくれるのが良い税理士です。
さらに税理士の業界では、料金表というものがなく、たくさん料金を取れそうな事業主の方からはたくさん取るというやり方がまかり通っていた時代もありました。こんな税理士さんに引っかかったら、料金を多めに取られてしまうかもしれません。そこで、料金表があるかどうかというのは注目点の一つです。
この表を参考にして、ぜひとも良い税理士さんを見分けていただければと思います。

税理士というサービス業は、財務省(国税庁)の許認可事業であるという側面を持っています。
自己申告による納税が原則となっている我が国においては、納税すべき人がルールをすべて理解して、そのルールにのっとって自分で税務計算期間(通常は1年)分の税務計算を行い、その結果はじき出された税金納付を自分で行うという原則があります。
なるべく税金をいっぱい徴収したい税務署としては、できれば税務署側で計算し、納付義務を課したいのが本音のところです。しかし、これを徹底するには税務署員を大量に増員しなければなりません。税金で食べている役人の数を多くされたら、それもまた国民としては納得が行かないですよね。
したがって、国家が狭き門の資格を特権的に用意して、税務署の代わりに「適正に」納税者から税金を徴収するための機能を民間に設置している、それが税理士の本質です。
この構造からして、純然たるサービス業とは本質的性質が異なるために、なかなか微妙なところがあると思います。
きちんと法律に則った適法性は遵守しながら、納税者側の立場に立って最大の顧客満足を目指す、というのが最も好ましいスタンスかと思われます。
完全に税務署の立場に立って削減できる納税も払わされるのも困りものですが、一方、甘い適法性判断から自己申告をした結果、それが後に違法と判断されて追徴課税や重加算税の納付を求められるようなことがあったら、こちらの方がはるかにタチが悪いと言えます。

 

3.税理士さんとの相性を見る


ポイントの3つ目は、税理士さんとの相性です。業務上の相性でいえば、節税に強い、経営全般に詳しいなど、ご自身が依頼したいと思う項目に強みを持つ税理士を選ぶと良いでしょう。

また仕事は結果だけでなく、プロセスも大切です。お願いした仕事を、約束した金額と納期できちんと行ってくれるのが基本ですが、そのほかに税理士よってさまざまなプラスαがあります。

プラスαは例えば、忙しくて税理士への提出書類が遅れがちな事業主に対して、タイミングよく催促してくれるといった面倒見の良さも一つ挙げられるでしょう。しかしこれも、提出日までに書類をきちんと出せる事業主であれば、不必要なサービスです。かえって「うっとおしい」ということにもなりかねません。

どういったことを「助かる」と思うかは、事業主ごとに異なります。とにかく時間を取られないことを大切に思う事業主の方であれば、テキパキと最小限の時間でやりとりを行う税理士のほうが、相性がよいでしょう。逆に、やりとりをするときに少し雑談してコミュニケーションをとりたいと思う事業主の方であれば、あまり事務的なやりとりに終始すると、物足りないと思われるかもしれません。

こういった相性も見ながら、税理士を選ぶと良さそうです。

 

4.サービス業としての税理士の環境を理解する


少し前であれば、税理士資格取得は狭き門だったので、資格保有者の希少性から資格だけで仕事が成り立つ職業でした(いかにも日本的な構造ですね)。しかし、昨今ではそうは行きません。特に都市部においては、ほぼ純然たる市場の自由競争も存在している状況です。
以前のように、杓子定規かつ顧客の立場に立てない税理士は廃業に追い込まれるケースも出てきています。
国家資格が前提ではありながら、結局はサービス業であるという本質に帰着するということですね。
税理士も、顧客の満足を前提にするのは当たり前。その上で、さらにそれ以外にどのような価値を作れるか、が存続条件になるわけです。
言い方を変えれば、あまりにいい加減なサービス提供をしている税理士は存続しえなくなってきているということでもあるので、その点では、事業者及び納税者にとっては良い環境になってきていると言えますね
結局は、税理士も、いくら数字が媒介になっているとしても、人が人に提供をするサービス業。税理士さんの人間性が問われることは、間違いないところです。
ただでさえ煩わしい経理の細かい数字や、形式ばった税法の申告書などといった退屈なものを扱うわけですから、税理士さんには懐の深さや人間的な魅力があって欲しいものです。
例えば、ミスを犯さないことを命としているような潔癖タイプよりも、むしろちょっと抜けているところがあっても事業者の気持ちに寄り添い、経営者の辛さを真に理解してくれるような税理士の方が、発注する事業者にとって本当にありがたい存在になるのかもしれません。

 

あとがき

税務申告の前提となる決算書類の作成や申告書の作成は、単に税務署への対応だけでなく、他の目的にも重要な役割があります。
金融機関や行政からの融資を受ける際には、まずそれらの計算書類の提出を求められますし、また、営業的にも大手会社と新規で取引を開始する際に提出を求められることもあります。
つまり、計算書類作成は客観的な会社の信頼性を担保する上でも極めて重要なものだという認識を持っておいた方がいいのです。
当然、最初の税理士選びも重要ですが、良かれと思って選んだ税理士であっても、途中から好ましいと思えない状況が出てきたら、途中で変更できることを念頭に入れ、納得の行くサービス提供を堂々と要求しましょう。
事業主にとって大切なビジネスパートナーである税理士さんは、慎重に選びたいですね!

以上、
税理士さんの選び方4つのポイントでした。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。