日本の税率を嫌う法人が海外登記をする4つの理由

日本の税率を嫌う法人が海外登記をする4つの理由
日本の法人税は、世界の他の国と比べると高いほうです。そこで、高い法人税を納めたくないと考える法人は海外登記をするのですが、それによって一体どんなメリットが生まれるのでしょうか。海外登記をする4つの理由をお教えします。


日本の税率を嫌う法人が海外登記をする4つの理由

 

理由1:法人税が安くなるかゼロになる


1つ目の理由は、海外法人登記をしてその国の法人税を納める場合、日本で法人税を納めるよりも税金が安くなる、またはゼロになるからです。支払う法人税を減らすかまたはゼロにすることができれば、浮いたお金をさまざまに有効活用して、社内に留保するフリーキャッシュフローが増え、財務状態を向上させることができ、また新たな投資の資金を作ることができます。

多くの事業がグローバルに展開される事業では、安い労働力を求めて生産拠点を海外に移転したり、販路拡大を狙って海外の市場をターゲットにした営業戦略を取るなど、多岐にわたる取引が想定されることから、外国法人の設立を視野に入れた経営が好ましいのです。

以下に、いくつかの国の法人税の実効税率を表にしてみました。

国名 法人税率
フランス 34.43
ポルトガル 31.50
オーストラリア 30.00
メキシコ 30.00
ドイツ 29.83
日本 29.74
ベルギー 29.58
ギリシャ 29.00

(2018年5月現在)

日本の実効税率はフランスやポルトガルに比べると高くありませんが、それでもまだ世界6位なので全体のレベルから言えば高い方と言えます。
そこで、例えばシンガポールの実効税率は17%以下で、日本よりも12ポイントも低い数字です。日本の法人とシンガポールの法人がそれぞれ1億円の課税所得があったとして、単純計算すると日本の法人は約3000万円を税金にもっていかれます。シンガポールの法人なら、税金は1700万円ですみます。したがって、実に純粋なキャッシュアウトとして1300万円もの差が出てしまうわけですね。1300万円あれば、社員の給料を上げて内部のモチベーションアップに還元することもできますし、新たな投資の原資としてもそこそこの金額になります。これでは、日本の税率を嫌う法人があっても仕方がないでしょう。

また、法人税がゼロの国があります。いわゆるタックスヘイブンと呼ばれる地域です。具体的には、BVI(British Virgin Islands)、イギリス領ヴァージン諸島やケイマン諸島が有名ですが、実はアメリカのデラウェアなども租税回避地として利用されたりしています。これらの地域では、自治領として独自の法律を持ち、自国以外の地域で行われる事業からは税金を取りません。

ただし日本の税制では、「タックスヘイブン対策税制」と呼ばれる制度があります。単に税金支払いを回避だけの目的でタックスヘイブンを利用した場合、日本国内の利益にタックスヘイブン地での利益を合算しなければならないことになっており、資金の流れや法人の活動実態など、その認定も厳しくチェックされます。すなわち、税金逃れのためだけではタックスヘイブンは利用できないように網が張られている訳ですね。
会社経営にとってキャッシュフローが極めて重要であることは、もはや議論の余地のないところです。
不要なキャッシュアウトを少しでも減らしたいのは、個人でも法人でも同じです。問題はどこで減らすかですが、設備投資を減らすと将来的な競争力や収益が下がる恐れがあります。社員の給料は理由もなく減らすわけにはいきませんし、減らせたとしても、モチベーションの低下は避けられません。モチベーションの低下が業績に影響してしまっては、元も子もありません。

株式会社なら株主への配当金を減らすという選択肢もありますが、これも、期待がはずれた株主たちが株式を売却する方向にいくと、株価が下がってしまうかもしれません。株価が下がり始めた株式は人気がないので、思うように資金を集められなくなってしまいそうです。
できる限り、合理的な税金対策を行い、事業の中身に悪影響を及ぼさない形でキャッシュアウトを減らすことが理想的です。

 


 

理由2:登記も管理も簡単な場合がある


2つ目の理由は、海外法人登記が簡単なことです。いくら法人税が安くなるといっても、外国で登記するというと、いろいろと面倒な手間がかかるのではと懸念する法人もいらっしゃるでしょう。
しかしながら、実は国によってはこの登記手続きなどが極めて簡易な場合もあるのです。
BVI法人を例にして見てみましょう。BVI法人の設立は、ご自分一人から可能です。また事業内容についても、テロや犯罪での利用でない限り特に制限はありません。

口座を開く際に誰かが足を運ばなければなりませんが、海外法人の設立や登記を専門に代行してくれる業者があります。費用はかかりますが、忙しくて現地まで行く時間がとれないという方には便利です。
香港の場合では、以下の書類が揃えば早くて3週間ほどで法人登記の手続きが終了します。

  • パスポートのコピー
  • 運転免許証、国際運転免許証
  • 公共料金の請求書(3ヶ月以内に発行されたもの) (いずれも株主と役員のもの)

さらに、日本法人がすでにある場合には、海外法人を設立後にその海外法人によって日本法人を買収して子会社化するという方法があります。そうすれば日本法人のほうも、安い税金、もしくは税金ゼロの恩恵を受けられる可能性もあります。

ただ、法人設立の要件や手続きなどは、各国によってまちまちです。さらに、外国人や外国法人が出資者及び役員の登記に加わる場合は、各国の外国人投資法も適用されるので、それぞれの国の最新のレギュレーションを正確に確認して進めることが肝要です。

 

理由3:BVI法人なら、決算報告及び監査報告の義務がなく楽である


BVI法人の場合、税金がゼロになるだけでなく決算報告書の提出や監査報告の義務がありません。一般の法人であれば、納税と監査のために1年のうちの少なくない時間と労力を割いてるので、これが一切ないのは非常に楽です。
決算や納税と監査のための事務作業がなくなるということは、その分の人手がなくせるということなので、人件費を減らせます。

また、監査にあたって税理士に事務作業を委託したり相談するということがないので、それに伴う費用が発生しません。
ただし、日本の税務署に多くの資産を隠しているととられた場合には、脱税ということにもなりかねないので、慎重に行うことが大切です。

決算報告及び監査報告の義務がなく楽なBVI法人の登記も、選択肢の一つに入れると良さそうです。
ただし、タックスヘイブンオフショア法人については、上記の通り「タックスヘイブン対策税制」という制度があるため、単純な税金逃れはできないようになっています。法人設立にあたっては目的と実際のメリットを考慮し、慎重に検討することが必要です。

 

理由4 :実務上、外国法人化が必要かつ合理的な場合が多い


製造業などの場合、安い労働者の大量確保は、少子高齢化の進行による人材不足、高い労働力コストなどの理由により、もはや日本国内では困難ですね。そのため、大型の製造工場は東南アジアを中心に海外で設立することが当たり前の時代になってきました。
工場を設立により、大きな組織を構える場合は、現地の労働者を雇い、現地の法律の元で操業を行っていくわけなので、当然ながら現地法人化することが必要になってきます。
工場設立の場所として、どの国が最も好ましいかを判断するにあたっては、各国の人件費や人的クオリティ、社会環境をチェックするのはもちろんのこととして、それぞれの税制について確認することも重要です。というのも、それがゆくゆくはダイレクトなキャッシュアウトにつながってくるからですね。
この場合、単に法人税率や所得税率だけでなく、外国人投資法適用の枠内で、投資誘致のために有利な税制が設定されている国も多くあるので、最新の税制措置を入念に確認することも重要な経営判断と言えます。

 


 

まとめ

いかがでしたでしょうか、日本の税率を嫌う法人が海外登記をする4つの理由

  1. 法人税が安くなるかゼロになる
  2. 登記も管理も簡単な場合がある
  3. BVI法人は、決算報告及び監査報告の義務がなく楽である
  4. 実務上、外国法人化が必要かつ合理的な場合が多い

税金の支出を減らせるのは、事業主にとって大変ありがたいことです。海外法人登記という方法も検討してみてはいかがでしょうか。

以上、「 日本の税率を嫌う法人が海外登記をする4つの理由 」でした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。