「損失」って言葉、何種類ある?

一般用語の「損失」の定義は、「利益を失うこと」を指しますが、会計上の「損失」といった場合、その内容や範囲によっていくつかの種類があります。会計上ひいては経営上も、最終的に「損失」は利益の対義語、つまり利益がプラスとすればそのマイナスを指すことになりますが、会計上の定義による損失の違いを知っておくことは、事業経営を行っていく上では有用なこともあるかもしません。
ここでは、それぞれの損失の定義を一つずつ簡単に解説します。

「損失」って言葉、何種類ある?

 

1.売上総損失とは?

売上総利益の残額がマイナスの場合に、売上総損失となります。売上総利益は、損益計算表上、一番最初に出てくる利益で、売上高から売上原価を差し引いて残った利益のことを指します。「粗利益(荒利益)」と呼ばれますね。
売上原価とは、ある売上を上げるために直接かかった原価を指し、商業で言えば仕入れにかかる費用ということになります。
ですので、売上総損失が発生してしまう場合は、「売上ー仕入」がマイナス(赤字)になっていることを指すため、経営的には根本的な課題を抱えてしまっていると言えますね。

 


 

2.営業損失とは?

損益計算表上、2番目に出てくる利益が営業利益です。
1.でご説明した売上総利益から販売費と一般管理費を差し引いた金額が営業利益ですが、それがマイナスの場合に、営業損失が発生することとなります。「販売費及び一般管理費」とは、事業運営を行うためにかかるコストのことを指します。つまり、仕入れのように個別の売上に直接かかるコストではないけれど、事業の継続維持のための必要なコストを指します。例えば、事務所家賃や水道光熱費、販売促進費、広告宣伝費、交際費などが広く含まれます。また給与や賞与を始めとして、福利厚生費、減価償却費などが含まれます。
上の売上総利益が黒字(つまり損失が出ていない状況)でありながら、営業損失が出てしまうという現象が起きているとすれば、それは家賃や人件費といった固定費が、売上規模に見合わずに大きすぎることを意味しています。

 


 

3.営業外損失とは?

本来の目的の営業活動以外の企業活動で収益が上がった場合を営業外収益と言い、逆に損失が出た場合が営業外損失です。一般的には、金融活動による収益及び損失を言い、具体的には銀行の利息や株式の配当がスタンダードな営業外収益、保有している株式の市場価格の下落などで資産価値が目減りした場合に、営業外損失となります。

 


 

4.経常損失とは?

損益計算上、3番目に出てくる利益が経常利益で、事業の内容を見る上で最もコアになる指標です。
経常利益は、営業利益(または営業損失)に営業外収益を加え、さらに営業外損失を引いたものです。そして、その数字がマイナスになった場合に経常損失が発生することになります。
通常、経営の状態は上記の営業利益の部分で見ることになるので、よっぽど大きな金融資産があって大きな利息や配当が発生するような場合以外、営業外損益が会社全体の利益に多大なインパクトを与えることはないので、経常利益は営業利益と同レベルの数字になります。

 


5.特別損失とは?

特別損失とは、企業の根幹の事業活動以外の特別な活動で生じた、臨時の損失を指します。例えば、有価証券や固定資産の売却損、社債の償還損、そのほか盗難や災害における損失も含まれます。
また、株式などの有価証券の大幅な市場価格の下落も通常ではない損失という趣旨でこの特別損失に参入されます。
これらの損失は、会計上の費用としては認められませんが、税法上で費用処理が可能なため、特別損失として一括りにされています。

 


 

6.当期(純)損失とは?

会社の売上から全ての費用を引いた数字が当期純利益、そしてそれがマイナスの場合が当期(純)損失となります。
経常利益に、資産売却益等の臨時の利益たる特別利益を加味し、そこから特別損失を引き、さらに各種税金を引いた残りが当期純利益または当期(純)損失です。当期(純)損失は純損失とも呼ばれます。損益計算書上、当期損失が発生している場合は、その内訳が非常に重要になります。
当期損失が発生している場合、まず一番にチェックしなければならないのは、経常利益がプラスであるかマイナスであるかです。経常利益がプラスで当期損失が発生しているとすれば、何かしらの臨時的な大きな特別損失が発生していることになるので、その特別損失の中身をチェックすることになります。

 


 

7.純損失とは?

当期(純)損失のことを指します。

 


 

8.税引前当期(純)損失とは?

当期(純)損失の税引前の金額がマイナスである場合に、税引前当期(純)損失となります。

 

9.償却前営業損失とは?

減価償却費を差し引く前の営業利益がマイナスの場合に、償却前営業損失となります。巨大なプラントなど、減価償却費が極めて大きい場合、営業損失が出る場合が多いですが、純然たる営業活動数字を把握するために、固定資産が巨大な事業の場合に算定したりします。

 


 

10.貸倒損失とは?

貸付金や売掛金等の資産が回収できなくなったときに、損失計上して処理するための費目です。ただし、すでに計上済みの貸倒引当金がある場合は、まずはその引当金を相殺し、それでも足りない場合にこの貸倒損失の科目で費用計上します。
損金への算入が認められるかどうかについては一定の要件がありますが、法人税法では要件を満たせば算入が可能です。

 


 

11.減損損失とは?

固定資産の収益性が低下すると、その固定資産に投資した金額の回収が見込めなくなります。そのとき帳簿上の金額を回収可能な金額まで減額しますが、そこで生じる損失を減損損失と言います。

 


 

12.譲渡損失とは?

譲渡損失とは、個人が不動産を譲渡した際に生じる損失を言います。土地や建物などの不動産を譲渡した際に生じた損失の金額は、他の不動産の譲渡によって得た利益の金額から控除することが可能です。
ただし、損失の金額のほうが多い場合でも給与所得や事業所得などと損益通算はできません。けれどもこれには例外があります。不動産の所有期間が5年を超える長期譲渡所得と認められ、なおかつそれが居住用の財産であった場合、その不動産の譲渡によって生じた損失は、給与所得や事業所得などと損益通算が可能です。また、損益通算しても一年度では控除しきれないほどの損失が出た場合は、3年間にわたって損失の繰り越しができます。
ただし、譲渡損失は、一般的な企業会計の勘定科目としては登場しません。

 


13.厚生損失とは?

経済用語では厚生損失、という言葉もあります。これは、簡単に言えば、独占市場環境において、供給者が自分の都合に合わせて勝手に価格を操作すると、社会的損失が発生する、というような意味になります。
従い、通用の企業会計や事業評価としての損失とは根本的な性質の異なる損失ですね。

 


 

14.最終損失とは?

税引前当期(純)損失のことを指します。

 


 

まとめ

1.売上総損失とは?
2.営業損失とは?
3. 営業外損失
4.経常損失とは?
5.特別損失とは?
6.当期(純)損失とは?
7.純損失とは?
8.税引前当期(純)損失とは?
9.償却前営業損失とは?
10.貸倒損失とは?
11.減損損失とは?
12.譲渡損失とは?
13.厚生損失とは?
14.最終損失とは?

それぞれがどのような「損失」なのか、ご理解いただけたでしょうか? ずいぶんたくさんの種類がありますが、言葉は違っていても同じ意味のものもあるのですね!

以上、
「損失って何種類ある?」でした。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。