銀行や郵便局の普通預金の金利が0.1%をも大きく割り込んでいる現在、投資にとても注目が集まっています。資金と資産、貯蓄と投資の違いを正確に把握して投資を始めたい方も多いのではないでしょうか。今回は、投資の基礎知識を一緒に学んでいきましょう。
資産運用と資金運用の違いを理解して投資する方法
INDEX
1.貯蓄と投資の金利の違いを理解する
まず、貯蓄と投資の違いをご説明いたします。一昔前には、郵便局や銀行の定期預金は資産運用する際の大きな選択肢の一つでした。例えば郵便局の10年定期預金には金利が8〜12%もありました。銀行の1年定期預金でも、金利5%ぐらいあるのは普通だったのです。このような時代には、銀行や郵便局にただ預金するだけで知らない間にお金が増えました。すなわち貯蓄=資産運用だったのです。
「預金」には、元本の保証があります。「投資」は、元本の保証がないものがほとんどです。この「元本」というのは、預金者が最初に預けたお金のことです。「元本保証」とは、この最初に預けたお金が預金者に必ず全額返却されるという保証です。
確かに元本保証があるのは預金の大きなメリットですが、現在、ゆうちょ銀行(前郵便局)の最長の定期預金である5年定期でも、金利は0.01%です。100万円を1年間預けても、100円にしかなりません。これではお金の目減りを防ぐことさえできません。
現在 ゆうちょ銀行の5年定期 |
一昔前 郵便局の10年定期 |
|
金利 | 0.01% | 8〜12% |
100万円預けた場合の利息 | 100円 | 8万円〜12万円 |
そこで、徐々に注目されるようになったのが投資です。一昔前、投資は一部の裕福な個人投資家が行うものという認識でした。また先ほど申し上げたように、元本保証がないものがほとんどなので、一般の方々の間には、なかなか広まりませんでした。
けれども証券会社や銀行は、人々の投資への注目を受けて、多くの人が利用できるような投資の新商品を次々と出してきています。
中には、何千円という単位で投資できる商品もあります。これなら、宝くじを購入するような感覚で投資ができますし、損失が出ても少額ですみます。
これらの貯蓄と投資の金利の状況の変化により、現代では投資=資産運用となっています。
2.資産運用と資金運用の違いとは?
先ほどから資産運用という言葉を使っていますが、一方で資金運用という言葉もあります。これらは、どういった違いがあるのでしょうか。簡単に申し上げると、資産とは現金および現金以外の財産であり、資金は現金のみを指します。
それでは、資産には何が含まれるのでしょうか。現金は、もちろん資産です。そのほか土地・建物などの不動産や現金への請求権を持つ債券、また現金によって購入される物は、すべて資産です。
資産というと、政治家や財界人、芸能人などの高額所得者の方々の莫大な財産というイメージがありますが、いくら以上が資産という線引きはありません。そういった意味では、1円も資産といえるでしょう。一般投資家には、1万円も大金です。たとえ1万円未満の投資であっても、立派な「資産運用」なのです。
3.投資商品の種類を知る 株式・債券・投資信託
それでは、投資商品の種類を2章に分けて紹介したいと思います。以下に、投資対象の代表的な商品を挙げてみました。
- 株式
- 債券
- 投資信託
- 純金・プラチナ
- FX
株式は、株式会社が事業資金を調達するために発行するものです。主な収益としては、株式を売却する際の売却益と、株式会社の事業利益を分配する配当金があります。
債券の発行元は、事業会社のほかには、国や地方公共団体、独立行政法人などです。株式と同様に、これらの機関が運営資金を調達するために発行します。債券の収益は、満期日まで持っていた場合の償還金、満期日までに売却した場合の売却益のほか、預金のように利子が付きます。一般的に、預金と比べるとリスクが高いけれども、株式と比べるとリスクが低いと言われています。
株式や債券が、ある一つの会社が発行したものなのに対して、投資信託は、複数の会社の株式・債券を組み合わせて運用する商品です。株式や債券は、個人投資家が自ら選定・運用しますが、投資信託は証券トレーダーなど投資のプロが選定・運用します。また、同じ投資金額で多くの種類の株式・債券に分散投資できることから、リスクを分散することができます。さらに、少額の資産でも投資できるというメリットがあります。
株式・債券・投資信託のこのような特徴を知った上で、投資を考えましょう。
4.投資商品の種類を知る 純金・プラチナ・FX
純金・プラチナへの投資は、まだまだ個人投資家全体への認知度は低いですが、近年になって銀行や証券会社が力を入れている商品です。純金・プラチナというと塊(かたまり)の延べ棒を思い浮かべ、とても手が出ないと思っている方も多いかもしれません。
けれども、現在は純金・プラチナも少額資産で購入できるようになっています。証券会社によっては、月々1000円から積立ができる商品もあります。
純金・プラチナ投資の最大のメリットは、純金・プラチナそのものに資産価値があるということです。株式や債券などは換金できることを前提にして価値が生まれますが、極端なことを言うと、株式や債券の発行元が倒産した場合、資産価値はゼロになります。純金・プラチナには、そういった心配がありません。
最近よく耳にするFXとは、外国為替証拠金取引のことです。ご理解いただきやすいよう、外貨の両替を例にしてご説明します。
例えば、海外旅行の際には誰でも現地の通貨を用意しますね。その場合、銀行などで日本円と(アメリカに行くなら)ドルを両替してもらいます。旅行先がヨーロッパならば、日本円とユーロを両替してもらいます。
異なる通貨の交換比率を「為替レート」といいます。旅行前に両替してもらった為替レートが100円で1ドルだったとして、10万円を1000ドルに両替して持っていくとします。
この1000ドルを使わずにそのまま持って帰り、また日本円に両替してもらうとします。その際、為替レートが120円で1ドルに変わっていたら、1000ドルは12万円の日本円と両替してもらえることになります。手数料を考えずに計算すると、単純に2万円の差額が利益になります。
このように通貨も、株式や債券、また純金・プラチナなどと同様に、価値が変動するものです。この為替レートの差額を目的に投資するのが、FXです。
今まで純金・プラチナやFXになじみのなかった個人投資家のみなさまも、少額資産で投資できる商品として、知っておかれると良さそうです。
5.リスク管理して資産運用をする
さまざまな投資商品を見てきましたが、やはり資産運用する際には「リスク管理」が、初心者に限らず最も重要です。
宝くじであれば、当たることもあれば当たらないこともあるということを、ほとんどの方が分かっていると思います。投資の場合も、必ず利益が出るとは限りません。
けれど、宝くじがまったくの神頼みなのと違って、投資は少しでも利益が出そうな商品を購入したり、リスクを減らすといったことを自分で考えて行うことができます。
その商品に投資した場合の最大損失はいくらなのかを考慮し、万が一損失が出ても生活資金には影響のない範囲に抑えておくことが大切です。
また、同一商品に資産のすべてを投資すると、損失が出た場合には損失しか残りません。けれどもさまざまな商品に分散投資しておけば、ある商品で損をしても、別の商品では利益が出るなど、損失だけが残ることを防ぐことができます。これを「リスクの分散」といいます。
資産運用される際には、どうぞリスク管理をお忘れなきよう。
まとめ
資産運用と資金運用の違いを理解して投資する方法
- 貯蓄と投資の違いを理解する
- 資産運用と資金運用の違いとは?
- 投資商品の種類を知る−株式・債券・投資信託
- 投資商品の種類を知る−純金・プラチナ・FX
- リスク管理して資産運用をする
ゆうちょ銀行は「通常貯金(預金)は、いつでもどこでも出し入れできる、おサイフ代わりの貯金です」と明確に言っています。これは普通預金の場合ですが、定期預金の金利も普通預金の金利とあまり変わりません。もはや預金は「自宅に置くと不用心だから預けておくのに便利」という商品になっています。資産運用をお考えであれば、投資も視野に入れるとよいかもしれません。
資産運用の基礎知識を、ご理解いただけましたでしょうか?
以上、『資産運用と資金運用の違いを理解して投資する方法』でした!

- ゆうちょ銀行:http://www.jp-bank.japanpost.jp/cgi-bin/kinri.cgi
- All About:http://allabout.co.jp/gm/gc/185242/
- iFINANCE:http://www.ifinance.ne.jp/learn/bond/bdb_1.htm
- 野村證券:http://www.nomura.co.jp/retail/fx/beginner_fx/5_minute.html
- マネックス証券:http://www.monex.co.jp/Etc/00000000/guest/G800/lp/monexgold_lp.htm