貯金や退職金など余裕資金が生まれた時、資金運用を考える方もいらっしゃるでしょう。ここでは、証券を100万円運用したい方に、上手な投資方法や税制の基礎知識5つのポイントをご紹介いたします。
1.消費税制改正の折、証券投資で資金を運用する
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2014年4月から消費税制が5%から8%に変更され、証券投資で手持ち資金を少しでも増やそうと考える方も多くなりました。
銀行の普通預金は、三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行の三大メガバンクが0.001%で横並びです。ゆうちょ銀行も0.001%。最近勢いを増しているインターネット銀行の一部では、0.05%のところもありますが、それもごく一部です。
これは例えば100万円を預けたとして計算すると、0.05%の銀行でも、たったの500円。物価の上昇率も考えると、資金運用目的で利用する商品ではなさそうです。
そこで注目されるのが、株式や債権、投資信託などの証券です。一昔前までは「証券」というと投資のプロが扱う商品というイメージでしたが、現在は少額の資金で投資できたりと、個人の投資対象として一般的なものになってきています。
この低金利時代には、証券投資で対抗するのも一つの方法かもしれません。
2.個人投資家の強力な味方「NISA」を知る
2014年1月から、個人投資家のための証券の新税制「NISA(少額投資非課税制度)」が制定されました。これは、2013年までの証券税制の優遇措置が終了し、株式や投資信託の売却益や配当金への課税率が10.147%から20.315%と一気に2倍以上になったことに伴う措置です。
NISAは、株式や投資信託の売却益や配当金を対象に、毎年100万円までの投資において、非課税枠を設けられるというものです。2023年までの限定的な制度で、最長5年、最高500万円までの枠を確保することができます。
銀行や郵便局でもNISAの口座を開くことができますが、その場合投資信託のみの取り扱いとなります。証券会社は、投資信託のほかに株式も取り扱っています。口座開設は、1金融機関につき、1人1口座となっています。
例えば株式や投資信託の売却益が30万円の場合と50万円の場合の税金は、下の表のようになります。
売却益 | 30万円 | 50万円 |
NISA利用の税金 | 0円 | 0円 |
NISA利用なしの税金 | 60,945円 | 101,575円 |
このように、個人投資家にとってNISAは大きなメリットがあります。
3.NISAを利用して株式投資する
NISAの口座は、株式投資を前提としています。株式投資は、主に株式を売却した場合の売却益が目的です。株式を購入した時の金額と、売却したときの金額の差額が、投資家の利益となります。
株式投資で得られる収益にはそのほか、株式を一定期間保有した場合の配当金があります。売却益は譲渡所得となり、申告分離課税が適用されます。配当金は配当所得となり、源泉分離課税が適用されます。
NISAの100万円の非課税枠は、あくまで投資の額(購入した額)の枠です。投資の結果、収益が100万円以上あっても、枠を超えることにはなりません。
株式投資をするなら、NISA利用の口座開設は押さえたいポイントです。
4.NISAを利用して投資信託を購入する
NISAの100万円の非課税枠は、株式のほか「投資信託」でも利用することができます。ここでの投資信託とは、株式投資信託及び不動産投資信託と上場投資信託を指します。また株式投資信託というと、株式のみに投資するのかと思われがちですが、株式と公社債の債券を組み合わせたバランス型の商品もあります。
個人投資家が株式投資をする際には、どの株式を購入すればよいか分からなかったり、研究するにも仕事や家事・育児で時間がなかったり、リスクが心配だったりということがあるでしょう。
投資信託は、そういった初心者の個人投資家にも購入しやすい商品です。
投資信託のメリットは、以下の3点になります。
- 少額の投資が可能であること
- 分散投資が可能であること
- 投資のプロが運用すること
つまり、1万円単位など個人でも投資しやすい少額の資金を集め、まとまった金額にして、個人では難しい大規模な投資・運用ができます。また、大きな資金で多くの種類の商品に投資ができるので、個人投資家が2〜3種類の商品に投資するよりもリスクを低くできるのです。
さらに、運用は証券会社のトレーダーなど投資のプロが行うので、個人投資家が投資の研究に時間を使わなくてすみます。
現在、投資信託への投資は、NISA利用の口座開設がおすすめです。
5.安全な商品とリスク付き商品を組み合わせる
最後になりますが、投資は、安全な商品とリスク付き商品の組み合わせが重要です。そして、資金の大小にかかわらず「分散」が基本となります。
元本保証の安全な商品だけ購入していれば安心ですが、それでは利益が薄いものとなります。またハイリスクの商品だけでは、元本をすべて失ってしまう危険性があります。
100万円の投資をするなら、70万円は安全に投資する、30万円はリスクはあってもリターンの高い商品に投資するなど、配分は個々人の裁量ですが、安全な商品とリスク付き商品のバランスを考えて行いましょう。
まとめ
- 消費税制改正の折、証券投資で手持ち資金の目減りを防ぐ
- 個人投資家の強力な味方「NISA」を知る
- NISAを利用して株式投資をする
- NISAを利用して投資信託を購入する
- 安全な商品とリスク付き商品を組み合わせる
NISAは、イギリスの個人貯蓄口座「ISA」の日本版ということで付けられた愛称だとか。NISAの100万円の非課税枠は、翌年に繰り越すことができないので、口座開設をお考えの方は2014年内に開設されるとよいでしょう。
2023年までと期間限定のNISA。上手に利用したいですね!
以上、『100万円を証券で運用したい! 投資・税制の基礎知識5つ』 でした。

参考記事
- 大和証券:http://www.daiwa.jp/service/isa/about_nisa.html
- 普通預金 金利:http://www.woman110.com/200807/futuuyokin.html
- 岡三オンライン証券:http://www.okasan-online.co.jp/beginner/nisa/about.html
- マネックス証券:http://www.monex.co.jp/FundGuide/00000000/guest/G678/trt/etf02.htm
- みずほ銀行:https://www.mizuhobank.co.jp/saving/fund/guide/session3_4.html