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馬が大好きで、いつかは乗馬を経験したいと思っている方へ
眺めているだけでも、心奪われるほど魅力的な馬ですが、より身近にその魅力を感じたいなら、乗馬がおすすめ。
馬のたくましいボディをあなたの手綱さばきで操ることができたら、最高ですよね。
ここでは、乗馬にチャレンジする前に知っておきたい2つの乗馬スタイルについてお教えします。
ブリティッシュ&ウェスタン 2つの乗馬スタイルどちらを選ぶ?
INDEX
《ブリティッシュ&ウェスタン》
馬を愛でる人々の多くは、彼らと親密に触れ合う手段の一つとして乗馬に興味を持つのではないでしょうか。
鞍越しに感じる振動、長靴越しに伝わる温もり、手綱を通して交わすコミュニケーション。
遊園地や牧場での引馬ではなく、自分一人で馬に乗って、自在に操り、広い場所で思い切り駆けてみたい。
もしあなたがそう思うならば、まずは乗馬クラブの体験乗馬か乗馬キャンプに参加してみるといいでしょう。
しかし、参加を決める前に一つ大切なことを確認しなければいけません。
馬術には2つの異なるスタイルがあることをご存知でしょうか?
それが、英国式の「ブリティッシュ」と、米国式の「ウェスタン」です。
正反対とも言える2つの馬術スタイルですが、いずれにも捨てがたい魅力があります。
《ブリティッシュって、どんな乗馬スタイル?》
英国社会の嗜みをを反映した馬術スタイルです。
運動の正確さ・活発さ・美しさが求められ、特に馬場馬術は美しさを徹底的に追求します。
オリンピックの正式種目として認定されている馬場馬術・障害飛越競技・総合馬術もブリティッシュ由来です。
現在日本の都市近郊にある乗馬クラブのほとんどは、ブリティッシュ馬術を指導しています。
大学での学生馬術もブリティッシュです。
その理由はいくつかかありますが、主たるものを3つ挙げるならば、
- 競技開催数が、馬事公苑をはじめブリティッシュの方が圧倒的に多い。
- 土地が狭く高い日本では、安全な外乗コースを都市近郊に作ることは難しい。
- 明治以降、大日本帝国陸軍騎兵学校が取り入れたのがブリティッシュ。
などです。
《ブリティッシュの特徴》
元々が英国貴族の嗜みであったため、乗り手には礼法が求められます。
公式の場の服装は、黒・赤・濃紺の乗蘭(じょうらん/ジャケット)に白のキュロット(フィットした乗馬ズボン)に黒革の長靴です。
障害ではこれにメットを被り、馬場ではシルクハットに黒の燕尾服を着用します。
値段はピンキリとはいえ、率直に言ってどれも大変高価です。
鞍は競技に合わせて3種類あり、いずれも装飾性のないシンプルで、脚が使いやすいデザインです。
操作の特徴は、手綱を常に張ってテンションを維持し、馬の動きを管理下に置くことを理想とします。
馬種に規定はありませんが、サラブレッドやアングロアラブといった軽種、セルフランセやウェストファーレンといった中間種が好まれます。
《ウェスタンって、どんな乗馬スタイル?》
西部開拓時代の人馬共に厳しい環境下、極力疲弊せず・させず長距離を移動することをテーマに考案されたカウボーイの馬術スタイルです。
ウェスタンというと一般にロデオの荒々しいイメージが強いのですが、実際にはブリティッシュ以上に多種多様な競技が行われています。
ウェスタンプレジャーという馬の調教練度を見る競技など、素人目には何をしているのかよく分からないほど地味です。
「こんなに大人しくて素直で楽に乗れる馬なら自分も乗りたいなぁ」と、より強く審査員に思わせたコンビの勝ち。
騎兵隊ベースの馬術にはない面白い価値観がウェスタンにはあります。
日本国内での競技人口は少ないものの、しっかりとした思想に基づく興味深い馬術体系です。
ちなみにロデオはウェスタン馬術ではありません。
《ウェスタンの特徴》
元が実用馬術であるため、人馬共に「楽」で「無駄に疲れない」ことが重視されます。
服装は西部劇で出て来るようなカウボーイハット、ジーンズ、バックル、ウェスタンブーツが正装。
値段はピンキリですが、革製品以外は安く抑えられます。
鞍は固く重くガッチリとした座椅子のような座り心地で、長時間座っていても疲れません。
鞍の前部に突起があるのは、投げ縄を引っ掻けるためですが不慣れだと股間を打って地味に痛いので要注意。
手綱の持ち方はルーズレイン(弛ませる持ち方)にし、馬の個性に応じた無理のない動きを大切にします。
ウェスタンでは動きは多少大雑把でも、馬の持つ能力を引き出し、馬自ら考え自発的に好ましい行動をとらせることが理想です。
最後に…
ここまでの長文をお読み下さりありがとうございます。
日本での乗馬の主流となるブリティッシュ、レアだけれど奥深いおもしろさがありそうなウエスタン。
乗馬を体験してみる際には、ぜひ事前にどちらのスタイルなのかを確認してはじめてみましょう。
以上、『ブリティッシュ&ウェスタン 2つの乗馬スタイルどちらを選ぶ?』でした。最後までお読みいただき、ありがとうございました。