ギフトの代名詞「エルメススカーフ」の真価と持つ喜び

今でこそハイブランドとして世界中から認知されるようになったエルメスだが、一介の馬具商としてスタートした1837年当時のエルメスと現在のブランドイメージを重ね合わせる事が出来たのはおそらく、創業者のティエリ・エルメスとその遺志を継ぐ者達だけだったのではないかと思う。

今回はエルメスブランドの代名詞とも言える「エルメススカーフ」を通して、このブランドの魅力を伝えてみたいという衝動に駆られ、当方筆を執った次第である。

そう・・・エルメスというブランドは、人を動かし、強いては虜にしてしまうほど圧倒的なのだ。

◆エルメスの芸術性に垣間見えるもの

エルメススカーフの特筆すべき最初のポイントは、その高い「芸術性」である。エルメスのスカーフにはどれも絵画のようなストーリーが盛り込まれており、目にした瞬間に目を奪われてしまう不思議な感覚に陥る。

ロベール・デュマ・エルメスが第4代目社長就任以降、エルメスはスカーフに力を入れるようになった。1951年の事だ。その頃からスカーフが女性を美しく装飾するためのアイテムとして注目されるようになっていく。

90cm四方のキャンバスに描かれたストーリーには、それぞれテーマがある。エルメスは創業以来「年間テーマ」なるものを掲げており、例えば2014年のテーマは・・・「メタモルフォーズ:変身」だった。

商品から果てはブランドボックスのリボンに至るまでテーマを臭わせる工夫が盛り込まれており、スカーフもその例外ではなかった。「不死鳥の神話」や「生命の森」といったスカーフはメタモルフォーズのテーマを色濃く反映している。まるで、翼を持たずに生まれてきた我々に「メタモルフォーズ(変身)する」きっかけを与えてくれているかのようである。

毎年テーマを掲げる事で、確実に進化を遂げていくエルメス。ハイブランドとしてあり続ける苦労は並大抵のもではないだろう。

◆エルメスデザインの真価

後述する色合いにも通じる部分なのだが、エルメススカーフのデザイン性の高さは、シルクスクリーンプリントと呼ばれる特殊な技術によって保たれていると言っても過言ではない。

シルクスクリーンプリントとは、一般的に版画印刷に使われる技術の事で、インクが通過する穴と通過しない穴を作り出す事で、独特なデザインを作り出す技法の事なのだが、別名「孔版画の技法」とも呼ばれ、スカーフにその技術を取り入れたのはエルメスがはじめてである。

カレと呼ばれる90cm大(現在は70~140cmのラインナップも追加されている)のスカーフを、フランスを代表する超一流の職人達が全身全霊をかけて製作に取り組むのだ。

スカーフ1枚に、およそ300の繭または450kmもの糸が使用され、中には手作業により1mm以下のビーズを埋め込まれているものさえある。膨大な時間と丁寧且つ緻密な作業工程を経て、エルメスのスカーフは作られているのである。

スカーフ一枚の版製作に700時間から2000時間もの時間がかかるというから驚きである。エルメススカーフのデザイン性の高さはこうやって生み出されているのだ。正に職人技の妙。努力の結晶なのだ。

圧倒的な存在感と独自の個性を兼ね備えるエルメススカーフだが、ファッションを装飾するアクセサリーとしての位置付けはされておらず、それ単体でエルメス特有の気品と美しさを主張してくれる素晴らしさがある。

このアイテムはこの何世代先まで進化を続けるのだろうか。我々のエルメススカーフに対する興味もまた尽きる事はないだろう。

◆テーマの中に盛り込まれた多様性

◇シーズン毎に魅せる特徴の変化

テーマを踏襲しつつ、シーズン毎に異なる変化を見せ、見るものを飽きさせないのは、さすがはエルメスといったところだ。豊富なカラバリに加え、具象柄や抽象柄が更にスカーフの価値を引き立ててくれるのである。

◇豊富なカラーバリエーション

配色については次章にて詳しく後述するが、エルメススカーフの豊富なカラーバリエーションは、見るものを飽きさせない。単に色が違うというわけではない。時に使うもの・見るものの心を躍らせ、時に慌ただしい心を鎮めてくれる不思議な魅力がエルメススカーフのカラーにはあるのだ。
定番カラーはオレンジ・黄色だが、気に入ったデザインのスカーフがあるのなら、気分によって色違いのものを使い分ける楽しみ方が出来るのも、エルメススカーフの大きな魅力と言えるだろう。

◇エルメススカーフを装飾する多様な柄達

エルメスといえば定番は馬具・馬車柄だが、他にも・・・

・ベルト、ジュエリー、花、動物、太陽
・水玉、ペイズリー、ボーダー、幾何学柄

などが存在しており、前者は具象柄と呼ばれ、ステレオタイプの馬具・馬車柄はこれに該当する。対して後者は抽象柄と表現され、用途やコーディネートに応じて、使い分けられるようになるとエルメスのスカーフの楽しみ方は更に拡がるはずだ。

◆エルメスカラーが魅せる神秘

色合いに魅せられ、エルメスのスカーフを愛用している人も多いのではないかと思う。エルメスのスカーフの配色は、職人達が生み出した版を元に、専属のカラーリストが色付け行って作られている。

染料を決める工程もまた、膨大な時間と集中力が要され、理想の配色が決まるまで、幾度となく思考錯誤を繰り返すのだ。妥協は許されない。カラーリストは、一枚のスカーフの配色を完成させるのに数百時間もの時間を費やすのだ。

余談だが、エルメスのスカーフには、特殊技術により生地が摩擦すると匂いが残るものもある。視覚のみならず嗅覚まで楽しませてくれるエルメススカーフは、我々エルメスファンの心を捉えて離さない。

調香師と呼ばれる(感性で香りを選定する)スペシャリストによって、香りは決定され、しなやかさ、美しさ、官能的な魅力など、そのバリエーションには驚くほどの多様性を見せる。

エルメスのスカーフは感性という面においても圧倒的なのだ。

◆50年先も使い続けられる超品質

繭そのものの素材から、職人技術に至るまで、エルメスは一切の妥協を許さない。どれだけ作っても満足する事はないと言う職人達のあくなき探究心こそが、エルメススカーフの最高品質を半世紀以上もの間保持し続けている理由なのかもしれない。

親子2代で使えるスカーフ作りをモットーとしており、50年以上も間使い続ける事ができるエルメススカーフの品質は、エルメスの経営理念を代弁していると言い換える事も出来るだろう。カレに至っては75年以上にも渡り世界中から絶大な支持を受けているというから圧巻である。

以上が「エルメスのスカーフが愛される5つの理由」である。
いかがだっただろうか?エルメスのスカーフは本当に美しい。その美しさは世界中の女性を虜にするほどだ。

エルメス劇場と評される本店のディズプレイは、ウィンドウショッピングの先駆け的存在として知られている。しかしながら、狂喜乱舞しているのは虜になった我々よりもむしろそんな我々を眺めているエルメスの方であり、エルメスとはティエリ・エルメスが、エルメスというフィルターを通して創りたかった理想の世界なのかもしれない。