カー・オブ・ザ・イヤーとは、その年度の最高のクルマを表彰する権威ある自動車の祭典。ワールド・カー・オブ・ザ・イヤーをはじめ、わが国・日本の日本カー・オブ・ザ・イヤーなど、強い影響力を持つ賞が世界に散在しています。ここでは、世界に点在するそれぞれのカー・オブ・ザ・イヤー9つを紹介し、各賞の傾向と直近のイヤーカーの概要をお伝えします。
主要なカー・オブ・ザ・イヤーのまとめ 走りの勲章
INDEX
1.ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー
「世界で一番のクルマ」を決める自動車賞の最高峰に位置します。車種はコンパクトカーからSUVに至るまで、自動車業界の核になる幅広い部分で入賞の可能性を持ちます。バリュー(満足感)、安全性、環境性、コンセプトなど6項目を基準に実施されます。
【創設】
2004年1月に主催団体設立、2005年に初めて本賞が開催されました。
【主催団体】
WCA(ワールド・カー・アワード)会長 ピーター・ライオン(日本)とマット・デイビス(イタリア)が共同で務めています。
【開催時期】
すべての参加対象車が、3月に開催されるジュネーブ・モーターショー(スイス)に集結、同時にベスト3が発表され、4月のニューヨークモーターショー(米国)で大賞が発表されます。
【審査員】
世界22か国、69名に及ぶ、高名あるいは気鋭の自動車ジャーナリストの投票。
【ノミネート基準】
- 開催年度の一年前の秋までデビューした新車
- 現在も生産中であること
- 1月1日時点で世界2大陸以上の5カ国以上で販売されている車
この3点をすべてクリアしていなければならない
【傾向】
全10回のうち7回までもドイツ車が大賞を獲得していることから、しっかりとしたもの作りの姿勢が高評価を受けていることがわかります。また、日本からはマツダ車が高評価を受け続けており、14年度もマツダ「アクセラ」がベスト3にくい込む健闘を見せました。
《14年度・大賞受賞車はドイツ・アウディA3》
アウディA3 スポーツバック1.4 TFSI (AT 右ハンドル 5人乗り) 概要 (日本車仕様)
- 新車時価格(税込み)3,170,000 円
- 形式 DBA-8VCXS
- ミッション( AT / MT / CVT )フロア7AT
- 駆動方式 FF
- ボディタイプ ハッチバック
- 乗車定員 5人
- タイヤサイズ (前)205/55R16 (後)205/55R16
- 排気量 1,394 cc
- 馬力 122馬力
- 燃料 ハイオク
- 燃費 19.5(km/l)
2.ワールド・ラグジュアリー・カー賞
2014年から始まった賞。ワールド・カー・アワードが今年10周年を迎えたのに際し、全世界で販売台数が限定的な高価格、高プレミアムなカーモデルを表彰する高級車の祭典。今後、最も魅力的かつハイソサエティなクルマは何か、大いに注目されていくことは必然です。
【創設】
2014年に初めて開催される。
【主催団体】
WCA(ワールド・カー・アワード)。
【開催時期】
すべての参加対象車が3月に開催されるジュネーブ・モーターショー(スイス)に集結、同時にベスト3が発表され、4月のニューヨークモーターショー(米国)で大賞が発表されます。
【審査員】
世界22か国、69名に及ぶ、高名あるいは気鋭の自動車ジャーナリストの投票。
《2014年度・ラグジュアリー賞受賞車はメルセデス・ベンツSクラス》
メルセデス・ベンツ Sクラス(2014年6月~)S400 ハイブリッド (AT 右ハンドル 5人乗り) 概要(日本車仕様)
- 新車時価格(税込み)10,900,000円
- 形式 DAA-222057
- ミッション( AT / MT / CVT )コラム7AT
- 駆動方式 FR
- ボディタイプ セダン
- 乗車定員 5人
- タイヤサイズ(前)245/50R18(後)245/50R18
- 排気量 3,498 cc
- 馬力 306馬力
- 燃料 ハイオク
- 燃費 15.4(km/l)
3.ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤー
ヨーロピアンテイストがいかに強いかの証明として、過去の大賞受賞車は欧州車がひしめく結果となっています。2014年には、日本車のマツダ・アクセラも「日本のゴルフ」と称されるだけあって強さを発揮。メルセデス・ベンツSクラスと肩を並べ3位入賞でニューヨークまできましたが、大賞受賞はまたも欧州車、電気自動車のドイツ・BMWi3が栄光に輝きました。
【創設】
2004年1月、2005年に初めて開催されました。
【主催団体】
WCA(ワールド・カー・アワード)。
【開催時期】
すべての参加対象車が3月に開催されるジュネーブ・モーターショー(スイス)に集結、同時にベスト3が発表され、4月のニューヨークモーターショー(米国)で大賞が発表されます。
【審査員】
世界22か国、69名に及ぶ、高名あるいは気鋭の自動車ジャーナリストと6人のデザインエキスパートが加わって投票。
【傾向】
過去の受賞車はアウディ、ローバー、ジャガーなど正統派デザインで押す欧州車勢の受賞がまんべんなく多く、奇をてらうのではなくクルマの美しいボディラインが高評価を得る鍵となっています。
《2014年度ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤー受賞車はBMWi3》
BMW i3ベースモデル (AT 右ハンドル 4人乗り) 概要 (日本車仕様)
- 新車時価格(税込み)4,990,000 円
- 形式 ZAA-1Z00
- ミッション AT
- 駆動方式 MR
- ボディタイプ ハッチバック
- 乗車定員 4人
- タイヤサイズ (前)155/70R19(後)155/70R19
- 排気量 0cc
- 馬力 170 馬力
- 燃料 電気
4.ワールド・パフォーマンス・カー賞
この賞も「ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー」と同時に、ニューヨークモーターショーで発表されます。基本的に各種レースに採用されるような純然たるスポーツカーに授与される傾向を持ち、モータースポーツとともに進化してきたクルマが表彰されてきました。
【創設】
2006年、ワールド・カー・オブ・ザ・イヤーの部門賞として発足。
【主催団体】
WCA(ワールド・カー・アワード)。
【開催時期】
すべての参加対象車が3月に開催されるジュネーブ・モーターショー(スイス)に集結、同時にベスト3が発表され、4月のニューヨークモーターショー(米国)で大賞が発表されます。
【審査員】
世界22か国、69名に及ぶ、高名あるいは気鋭の自動車ジャーナリストの投票。
《2014年度・ワールド・パフォーマンス・カー賞受賞車はポルシェ911GT3》
ポルシェ911GT3 概要
- 新車時価格(税込み)19,120,000 円
- 形式 ―
- ミッション( AT / MT / CVT )7PDK
- 駆動方式 FR
- ボディタイプ クーペ
- 乗車定員 2人
- タイヤサイズ (前)245/35ZR20 (後)305/30ZR20
- 排気量 3,799cc
- 馬力 ―
- 燃料 ハイオク
5.ワールド・グリーン・カー・オブ・ザ・イヤー
ハイブリッド車をはじめとして、電気自動車などCO2削減に資するカーメーカーの先進技術を競う、未来志向のクルマが選ばれます。
【創設】
2006年から開催。
【主催団体】
WCA(ワールド・カー・アワード)。
【開催時期】
すべての参加対象車が3月に開催されるジュネーブ・モーターショー(スイス)に集結、同時にベスト3が発表され、4月のニューヨークモーターショー(米国)で大賞が発表されます。
【審査員】
世界22か国、69名に及ぶ、高名あるいは気鋭の自動車ジャーナリストと5人の自動車環境技術の権威が加わり投票。
【傾向】
地球環境問題への深い洞察と理解がメーカーに求められ、エポックメイキングな内容を備えたクルマであるか否かが問われます。
《2014年度ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤー受賞車はBMWi3》
これによりBMWi3はワールド・カー・アワードの各賞で、デザインカー、グリーンカーの2冠を果たしました。
BMW i3ベースモデル (AT 右ハンドル 4人乗り)
概要 (日本車仕様)
- 新車時価格(税込み)4,990,000 円
- 形式 ZAA-1Z00
- ミッション AT
- 駆動方式 MR
- ボディタイプ ハッチバック
- 乗車定員 4人
- タイヤサイズ (前)155/70R19(後)155/70R19
- 排気量 0cc
- 馬力 170 馬力
- 燃料 電気
6.日本カー・オブ・ザ・イヤー
日本国内で販売される乗用車の中から、年間を通して最優秀車に授賞する国内販売に大きな影響を及ぼす重賞です。創設は古く1980(昭和55)年から行われており、世界的にみても伝統があり、自動車立国でもある日本のメーカーが一堂に会する貴重な舞台です。期間中、多くの自動車ファンが会場に訪れ、各社のイメージガールなどの存在が会場の東京ビッグサイトに華を添えます。13年11月に行われた表彰では、日本・カー・オブ・ザ・イヤーの歴史で初めて輸入車がイヤーカーとなりました。
【創設】
1980年、昭和55年に初めて開催された 第一回のイヤーカーはマツダ・ファミリアです。
【主催団体】
日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員会(COTY)。雑誌を中心に37媒体で構成されます。
【開催時期】
毎年11月に行われます。
【審査員】
60人を上限、実行委員の推薦、投票により決定します。
【ノミネート基準】
前年11月1日から当年(開催年)10月30日までに国内で発表、発売されたノミネートを受けた自動車。
【傾向】
直近のイヤーカーは初の輸入車となりましたが、以前は「インポート・カー・オブ・ザ・イヤー」と国産、輸入車を分けた選考をしていました。2002年からは統一され、平等な評価を行うようになります。
2013年度、日本・カー・オブ・ザ・イヤー大賞はフォルクスワーゲン・ゴルフ(Ⅶ) 概要 (日本車仕様)
フォルクスワーゲン ゴルフ(2014年4月~)GTI (AT 右ハンドル 5人乗り)
概要
- 新車時価格(税込み) 3,833,000円
- 形式 ABA-AUCHH
- ミッション( AT / MT / CVT) フロア7AT
- 駆動方式 FF
- ボディタイプ ハッチバック
- 乗車定員 5人
- タイヤサイズ (前)205/55R16 (後)205/55R16
- 排気量 1,984cc
- 馬力 220馬力
- 燃料 ハイオク
- 燃費 15.9(km/l)
7.RJCカー・オブ・ザ・イヤー
日本・カー・オブ・ザ・イヤーで選ばれるクルマがメーカーによる選考委員への接待漬けで有利な位置を得ていると目されることがしばしばありました。それに対して「正しい選考を行う」という思想のもと、1992年次(平成4年)より開催されている「NPO日本自動車研究者・ジャーナリスト会議」によって行われてきた国内第二の表彰です。(JTCOTYより高学歴の委員が多く、学術的見地を大切にしている)
【創設】
1990年、平成2年に設立、2年後1992(平成2)年、初めて開催されました。第一回のイヤーカーは、マツダ・アンフィニ・RX-7。
【主催団体】
NPO日本自動車研究者・ジャーナリスト会議(RJC)飯塚 昭三会長。
【開催時期】
毎年11月に行われます。
【審査員】
60人を上限、実行委員の推薦、投票により決定します。
【傾向】
軽自動車も受賞の範疇に入っており、過去三度の授賞があります。高学歴者、学識経験者、自動車メーカーの技術部門プロパーなどの技術的視野から選考されます。また同時に、インポート・カー・オブ・ザ・イヤーやテクノロジー・カー・オブ・ザ・イヤー、パーソン・オブ・ザ・イヤーなども行います。
《2014年度RJCカー・オブ・ザ・イヤーはマツダ・アテンザ・三代目》(2014年4月~)2.0 20S (AT 5人乗り) 概要》
http://youtu.be/uJoLkkP3yfE
概要
- 新車時価格(税込み)2,592,000円
- 形式DBA-GJEFP
- ミッション( AT / MT / CVT )フロア6AT
- 駆動方式 FF
- ボディタイプ ハッチバック
- 乗車定員 5人
- タイヤサイズ (前)225/55R17 (後)225/55R17
- 排気量1,997cc
- 馬力 155馬力
- 燃料 レギュラー
- 燃費 17.4(km/l)
8.ヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤー
欧州7か国(イタリア、英国、スペイン、オランダ、フランス、ドイツ、スウェーデン)、7誌のモーターマガジンが主催し、過去1年に発売された自動車のNo.1を決めます。
【創設】
1964年に設立、以来毎年行われてきました。
【主催団体】
各国を代表する7誌のモーターマガジンにおける自動車ジャーナリストが審査員。
【開催時期】
第一次選考で選出された30台が、最終選考7台に絞られ、翌年3月に開催されるジュネーブ・モーターショーで「欧州で最も優れた1台」として表彰を受けます。
【審査員】
年々、審査員の数も国も増え、現在は20か国以上、約60人が審査に加わっています。
【傾向】
伝統的に小型車から中型車級の自動車生産が多い地域で、恒常的に市民が使うクルマはそれらに該当するため、高級車や大型車の受賞は大変少ない。
《2014年度ヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーはプジョー 308(2014年4月~)スポーティアム (AT 右ハンドル 5人乗り) 》
概要
- 新車時価格(税込み)2,770,000円
- 形式ABA-T75F02
- ミッション( AT / MT / CVT )フロア6AT
- 駆動方式 FF
- ボディタイプ セダン
- 乗車定員 5人
- タイヤサイズ (前)225/55R17 (後)225/55R17
- 排気量1,997cc
- 馬力 155馬力
- 燃料 ハイオク
- 燃費 17.4(km/l)
9.北米・カー・オブ・ザ・イヤー
デトロイト・モーターショー(北米国際オートショー)で、アメリカやカナダなど北米地域の乗用車、並びにトラックの大賞を同時に決めます。世界最大のクルマ社会・北米ならではの賞です。
【創設】
1994年。
【開催時期】
12月にファイナリスト3台に絞り込まれ、明けて翌1月のデトロイトモーターショーで、北米カーオブザイヤーが決定します。
【審査員】
北米に居住している50人ほどの自動車ジャーナリストの投票で選定されます。
【傾向】
他のカー・オブ・ザ・イヤーでは、ノミネートすらされない国のクルマが上位にくい込むなど、理解に苦しむ結果になることもままあります。基本的に世界最大の「アメ車」の祭典と見なされています。
《2014年度北米・カー・オブ・ザ・イヤーは シボレー コルベット(2014年4月~)6.2 (MT 左ハンドル 2人乗り)概要》
概要
- 新車時価格(税込み)9,182,000円
- 形式 不明
- ミッション( AT / MT / CVT )フロア7MT
- 駆動方式 FR
- ボディタイプ クーペ
- 乗車定員 2人
- タイヤサイズ (前)245/40ZR18(後)285/35ZR19
- 排気量6,153 cccc
- 馬力 460馬力
- 燃料 ハイオク
- 燃費 -(km/l)
あとがき
いかがでしたでしょうか。それぞれ9つのイヤーカーを見て頂き、読者のみなさまの心の琴線に触れるクルマがあれば幸いです。大体の賞は各国・各地域のモータージャーナリストが審査委員になっており、公平中立な立場でイヤーカーが決まる可能性は高いと考えられます。カー・オブ・ザ・イヤーで付与される権威は相当なもので、それぞれの地域や部門で一年間、「王者」と称することを許されるクルマになります。新車でクルマを買う場合、大きな指標になってくれるはず。あなたとクルマとの間に、いいご縁がありますように。
「主要なカー・オブ・ザ・イヤーのまとめ 走りの勲章」をお届けしました。お読みいただき、ありがとうございました。